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ぎっくり腰でも労災として認められる? OKケースとNGケースの違い

2023年09月28日
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ぎっくり腰でも労災として認められる? OKケースとNGケースの違い

大阪労働局が公表している労災の発生状況に関する統計資料によると、令和4年(2022年)に大阪労働局管内で発生した労災事故の件数は、8849件でした(新型コロナウイルス感染症によるものを除く)。

仕事中に重い荷物を持ったことにより、ぎっくり腰になってしまうことがあります。ぎっくり腰になると強い痛みから仕事だけでなく、日常生活にも支障が生じてしまいます。そして、業務中に発生したぎっくり腰は、労災として認められる場合と認められない場合の両方の可能性があるのです。

本コラムは、業務中にぎっくり腰になったときに労災として認められるかどうかについて、ベリーベスト法律事務所 豊中千里中央オフィスの弁護士が解説します。

1、仕事中のぎっくり腰が労災認定される場合

以下では、仕事中のぎっくり腰に労災が認定される場合について解説します。

  1. (1)ぎっくり腰(腰痛)の労災認定基準

    ぎっくり腰などの腰痛は、慢性的な持病として抱えていたり、日常生活において生じたりすることもあります。
    したがって、仕事中にぎっくり腰になったとしても、それが業務によって生じたものであるかどうかの判断は難しいといえます。

    厚生労働省では、ぎっくり腰などの腰痛が労災にあたるかどうかの認定基準を定めており、労働基準監督署長はこの基準にしたがって労災認定の判断を行っています。

    具体的な認定基準は、以下のとおりです。

    ① 災害性の原因による腰痛
    「災害性の原因による腰痛」とは、腰に受けた外傷によって生じる腰痛や、外傷はないものの突発的で急激な強い力が原因となり筋肉などが損傷して生じた腰痛のことをいいます。具体的には、負傷などによる腰痛のうち以下のいずれの要件も満たすものが、「災害性の原因による腰痛」となります。

    • 腰の負傷またはその負傷の原因となった急激な力の作用が仕事中の突発的な出来事によって生じたと明らかに認められること
    • 腰に作用した力が腰痛を発症させ、または腰痛の既往症・基礎疾患を著しく悪化させたと医学的に認められること


    ② 災害性の原因によらない腰痛
    災害性の原因によらない腰痛とは、日常の業務による腰への負荷が徐々に作用し、発症した腰痛のことをいいます。

    災害性の原因によらない腰痛は、発症原因によって、「筋肉の疲労による腰痛」と「骨の変化による腰痛」に分けられます。

    【筋肉の疲労による腰痛】
    「筋肉の疲労による腰痛」として労災認定されるためには、以下のような業務に約3か月以上従事したことによる筋肉などの疲労で腰痛が発生したことが必要になります。

    • 約20kg以上の重量物または重量が異なる物品を中腰の姿勢で繰り返し取り扱う業務
    • 毎日数時間、腰にとって極めて不自然な姿勢を維持したまま行う業務
    • 長時間同一の姿勢を維持し、立ち上がることもできない業務
    • 腰に著しく大きな振動を伴う作業を継続して行う業務


    【骨の変化による腰痛】
    「骨の変化による腰痛」として労災認定されるためには、以下のような業務に約10年以上にわたり継続して従事したことによる骨の変化で腰痛が発生したことが必要になります。

    • 労働時間の3分の1程度以上、約30㎏以上の重量を取り扱う業務
    • 労働時間の半分程度以上、約20㎏以上の重量物を取り扱う業務
  2. (2)労災認定される可能性のあるぎっくり腰

    災害性の原因によるぎっくり腰としては、以下のものが挙げられます。

    • 重量物を2人で運搬中に、1人が誤って手を放してしまったため、突然急激な強い力が腰にかかりぎっくり腰になった場合
    • 持ち上げようとした重量物が想定よりも重かったため、不適当な姿勢により持ち上げたことでぎっくり腰になった場合


    また、災害性の原因によらないぎっくり腰が発症しやすい業務としては、以下のようなものが挙げられます。

    • 港湾荷役
    • 配電工(柱上作業)
    • 長距離トラックの運転業務
    • 車両系建設用機械の運転業務

2、労災認定されない可能性が高いぎっくり腰とは

ぎっくり腰は、急に腰に強い痛みが生じる症状をいい、正式には、「急性腰痛」と呼ばれるものです。
何かを持ち上げようとしたときや腰をねじるといった動作をしたときに生じることが多いですが、朝起きた直後や何もしない状態でも生じることもあります。

このようなぎっくり腰は、日常的な動作のなかでも生じることから、仕事中に発症したとしても、原則として労災認定を受けることはできません。
たとえば、以下のようなぎっくり腰については、労災認定の対象外となる可能性が高いと考えておくとよいでしょう。

  • 床に落ちたペンを拾おうとしてぎっくり腰になった
  • 椅子から立ち上がろうとした際にぎっくり腰になった
  • 伸びをしたり、ストレッチしようとした際にぎっくり腰になった


ただし、発症時の姿勢の異常性や動作などから腰に強い負荷かかかったと認められる場合には、労災が認定される可能性もあります。
そのため、ぎっくり腰になってしまった場合には、どのような原因や経緯によって生じたものであるかが重要になるのです。

3、会社が労災認定に協力してくれないときできること

以下では、会社が労災認定に協力してくれないときに労働者がとれる対処法を解説します。

  1. (1)労災保険給付の申請書には会社の証明が必要

    労働者が労災によって負傷した場合は、労働基準監督署長に対して労災申請を行いましょう。労災申請の方法については、労働基準監督署に行けばやり方を教えてもらえます。
    労災申請をする際には、労災保険給付の申請書に必要事項を記入して労働基準監督署に提出することになりますが、申請書には、以下の項目について、事業主の証明を受ける必要があります。

    • 負傷または発病の年月日および時刻
    • 災害の原因および発生状況など
  2. (2)会社が労災申請に協力してくれない場合の対処法

    労災申請には、労災保険給付の申請書に事業主証明が必要になりますが、会社によっては、労災が発生したことを隠すために、事業主証明を拒むことがあります。
    このような場合には、例外的に事業主証明がない状態でも労災保険給付の申請書を提出することが認められています。

    労働基準監督署の実務では、事業主証明のない申請書を受理した後、事業主証明を拒んだ会社に対して、「証明拒否理由書」という書面を提出させる対応がとられています。
    労災申請は、負傷した労働者に代わって、会社が代行してくれるのが一般的ですが、労働者本人による申請も可能です。会社が労災申請に協力してくれないという場合には、まずは、労働基準監督署にその旨説明し、今後の手続きの流れについて相談するとよいでしょう

4、労災被害に遭ったときは弁護士に相談を

労災の被害に遭ってしまったら、弁護士に相談することを検討してください。

  1. (1)労災に関する会社の責任の有無を判断できる

    労災によって負傷した場合には、労災認定を受けることにより、労災保険からさまざまな労災補償給付が支払われます。
    療養給付、休業給付、障害給付、遺族給付などその内容はさまざまですが、実は、これだけでは十分な補償とはいえません。

    労災保険は、被災した労働者への最低限の補償を行う保険であるため、補償される金額は被災労働者のすべての損害を補塡(ほてん)するものではありません。
    また、精神的苦痛に対する慰謝料も、労災保険からは支払われないのです

    労災保険からの補償では不足する部分については、会社への損害賠償を請求する必要があります。
    しかし、損害賠償を請求するためには、労災に関する責任が会社にあることが条件になります。
    具体的には、安全配慮義務違反、使用者責任といった法的責任が会社の側にあることが必要です
    専門知識を持たない一般の方では、労災が発生したとしても会社に法的責任があるかどうかを判断することは難しいため、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
    なお、請求する時の流れとしては、まず労基署で開示請求をし、資料を得てから、その資料を元に弁護士が妥当な金額を判断して、会社と交渉、裁判などをすることになります。

  2. (2)会社に対する損害賠償請求を任せることができる

    労災に関して会社に法的責任があるといえる場合には、会社に対して、損害賠償請求を行うことになります。
    弁護士に依頼すれば損害賠償請求に関する会社との交渉をすべて弁護士に任せることができるため、交渉によるストレスはほとんどありません。
    また、弱い立場にある労働者個人が会社と対等に交渉を進めていくことは困難であるため、適切な条件で示談を成立させるためにも弁護士のサポートは必須です。

    会社が交渉に応じない場合や交渉では納得できる条件に至らなかった場合には、裁判所に訴訟提起をすることになります。
    裁判になれば、労働者の側で、証拠に基づいて会社の責任や労働者に発生した損害を立証していかなければなりません。その際には、労災で開示請求をした資料が証拠として役立ちます。
    責任や損害の立証は専門的な知識や経験がなければ困難であるため、やはり、弁護士のサポートは不可欠です

  3. (3)労災による不利益な待遇を回避できる

    労災によって負傷した労働者は、怪我が完治するまでは働くことができず、後遺障害が生じてしまえば以前と同様に働けないこともあります。

    このような状況になると、会社側は、労災によって負傷した労働者を辞めさせるなど、不利益な扱いをすることがあります。
    しかし、労災を理由に不利益な扱いをすることは認められていません

    万が一、会社がそのような扱いをしてきた場合には、弁護士が交渉して、不利益な処分の撤回を求めることができます。

5、まとめ

ぎっくり腰は、日常生活でも生じる可能性がある症状であるため、仕事中にぎっくり腰になったとしても、それだけを理由にして労災認定を受けることはできません。
ぎっくり腰などの腰痛に関しては、明確な労災認定基準が設けられており、その基準に該当すれば労災認定を受けることができます。

ぎっくり腰で労災認定を受けた場合には、会社に対して損害賠償を請求できる可能性もあるため、専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
まずは、ベリーベスト法律事務所 豊中千里中央オフィスまでお気軽にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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