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事故による脱臼で後遺症が残った! 慰謝料の請求は可能か、弁護士が解説

2021年09月02日
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事故による脱臼で後遺症が残った! 慰謝料の請求は可能か、弁護士が解説

交通事故による脱臼で、「腕が上がりにくくなった」「肩に痛みが残った」などの症状でお困りの方もいるでしょう。

交通事故による脱臼でこのような症状が残った場合には、後遺障害等級の認定を受けられる可能性があります。

本コラムでは、後遺障害等級の認定が受けられる可能性のある脱臼の症状から、後遺障害等級の認定方法、認定により受けられる補償の内容まで、ベリーベスト法律事務所 豊中千里中央オフィスの弁護士が解説します。

1、交通事故で脱臼した場合に請求できる可能性のある損害賠償の費目

交通事故で脱臼した場合に請求できる可能性のある損害賠償の費目として主要なものは、以下のとおりです。

  1. (1)治療費

    ケガの治療にかかる治療費については、実際にかかった費用を請求することが可能となります。

    ただし、治療費として認められるのは、交通事故による怪我の治療のために必要かつ相当な範囲に限られます

    ここでいう「必要かつ相当な範囲」とは、医学的見地からみて、一般的に治療として必要性および相当性が認められる範囲の治療行為であり、かつ、その金額も社会一般の水準と比較して妥当な範囲のものをいいます。

  2. (2)通院交通費

    通院交通費とは、通院のために公共交通機関を利用した場合の運賃や自家用車を利用した場合のガソリン代など、通院にかかった交通費のことです

    ただし、タクシーの利用については、傷害の内容や程度、病院までの交通の便などからみて、利用の必要性および相当性が認められないと判断された場合には、損害として認められない(支払われない)ので、注意してください。

  3. (3)休業損害

    休業損害とは、交通事故が原因で仕事ができなかったことによって生じた損害のことをいいます

    そのため、事故前に働いていなかった方については、現実の収入減はありませんので、原則として休業損害の請求は認められにくくなります。もっとも、家族と一緒に暮らしていて、家事労働を行っている主婦(主夫)であれば、主婦(主夫)の休業損害として請求できる可能性があります

  4. (4)入通院慰謝料

    入通院慰謝料とは、交通事故によってケガを負ってしまったことや入通院をすることで被った精神的苦痛に対する慰謝料のことをいいます

    入通院慰謝料の算定基準には、「自賠責保険基準」、「任意保険基準」、「裁判所基準」の3つがあります。

    自賠責保険基準は、日額4300円(2020年3月31日以前の事故は4200円)に、実治療日数の2倍と治療期間の日数のうち少ない方をかけて計算されます。自賠責保険は最低限の補償でしかないため、3つの基準の中でもっとも低い金額となります。

    任意保険基準は、任意保険会社ごとの独自の基準です。外部には公開されていませんが、一般的には自賠責保険基準より高額であるとされています。

    裁判所基準は、怪我の程度や入通院期間などに応じて、裁判で認められる慰謝料の金額を元に作成された基準のことをいい、3つの基準の中でもっとも高額となります。

  5. (5)後遺障害慰謝料

    後遺障害とは、交通事故による怪我が完治せず、治療を続けても症状の改善が見込めない(症状固定)と判断された後も残ってしまった症状のことをいいます

    そして、後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ってしまったことに対する慰謝料をいいますが、これは、後遺障害等級の認定を受けられなければ、基本的に支払われません

    後遺障害慰謝料は、後遺障害の等級(1級から14級まで)に応じて、基準となる金額が決められており、これに従って算定されます。後遺障害慰謝料についても、「自賠責保険基準」「任意保険基準」と「裁判所基準」の3つの基準があり、自賠責基準がもっとも低額で、裁判所基準がもっとも高額となっています。

    たとえば、肩鎖関節の脱臼により機能障害が残り、10級10号の後遺障害等級の認定を受けた場合、自賠責保険基準では、190万円であるのに対し、裁判所基準では、550万円の後遺障害慰謝料となります。

  6. (6)逸失利益

    逸失利益とは、後遺障害によって労働能力が制限されたことで失われた、本来得られるはずだった収入(利益)のことをいいます。

    逸失利益は、「基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」という計算式によって計算することになります

    労働能力喪失率は、後遺障害が残ってしまったがために、事故前と比べて低下してしまった労働能力の程度を比率で表したものをいいます。労働能力喪失率は、労働能力喪失率表を基本としつつ、被害者の職業や後遺障害の内容、事故前後の具体的な稼働状況等を総合的に判断して決定されます。

2、脱臼の症状別、認定される可能性がある後遺障害等級

そもそも脱臼とはどのような症状なのか、その症状別に、認定される可能性がある後遺障害等級について見ていきましょう。

  1. (1)脱臼とは

    脱臼とは、関節部分において、骨が本来あるべき位置からずれてしまった状態のことをいいます

    重い症状を生じさせるケースとしては、

    • 脱臼によって、関節を包んでいる関節包が破れ、靭帯が断裂する
    • 脱臼の際に強い衝撃が加わり、腱板損傷などを併発する


    などがあります。

    このような場合、その後も関節部分に痛みが残ったり、可動域制限が生じたりすることがあります。

  2. (2)腕が上がらなくなったなど、機能障害があるとき

    ① 脱臼が上肢(肩、腕、肘、手首)にある場合
    上肢(一般的には腕)は、鎖骨、肩甲骨、上腕骨、前腕骨(橈骨・尺骨)により形成されています。交通事故における上肢の脱臼でよくみられる傷病として、肩鎖関節脱臼、肩関節脱臼、肘関節脱臼、手関節脱臼などがあります。
    脱臼によって、上肢の3大関節(肩関節・肘関節・手関節)に後遺症が残った場合は、その程度に応じて以下の後遺障害が認定される可能性があります。

    ● 8級6号「1上肢の3大関節の中の1関節の用を廃したもの」
    「関節の用を廃したもの」とは、関節がまったく動かない場合や怪我をしていない方の関節と比べて可動域が10%以下に制限されている場合などのことをいいます。
    8級6号の後遺障害の場合の後遺障害慰謝料は、自賠責基準で331万円、裁判基準で830万円とされています。

    ● 10級10号「1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」
    「関節の機能に著しい障害を残すもの」とは、関節の可動域が怪我をしていない方の関節と比べて、2分の1以下に制限されている場合をいいます。
    10級10号の後遺障害の場合の後遺障害慰謝料は、自賠責基準で190万円、裁判基準で550万円とされています。

    ● 12級6号「1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」
    「関節の機能に障害を残すもの」とは、関節の可動域が怪我をしていない方の関節と比べて、4分の3以下に制限されている場合をいいます。
    12級6号の後遺障害の場合の後遺障害慰謝料は、自賠責基準で94万円、裁判基準で290万円とされています。

    ② 脱臼が下肢(股、膝、足首)にある場合
    下肢は、股関節から足のつま先までのことをいいます。交通事故における下肢の脱臼でよくみられる傷病としては、股関節脱臼、膝関節脱臼、足関節脱臼などがあります。脱臼によって、下肢の3大関節(股関節・ひざ関節・足関節)に後遺症が残った場合には、その程度に応じて以下の後遺障害が認定される可能性があります。

    ● 8級7号「1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの」
    「関節の用を廃したもの」とは、関節がまったく動かない場合や怪我をしていない方の関節と比べて可動域が10%以下に制限されている場合などのことをいいます。
    8級7号の後遺障害の場合の後遺障害慰謝料は、自賠責基準で331万円、裁判基準で830万円とされています。

    ● 10級11号「1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」
    「関節の機能に著しい障害を残すもの」とは、関節の可動域が怪我をしていない方の関節と比べて、2分の1以下に制限されている場合をいいます。
    10級11号の後遺障害の場合の後遺障害慰謝料は、自賠責基準で190万円、裁判基準で550万円とされています。

    ● 12級7号「1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」
    「関節の機能に障害を残すもの」とは、関節の可動域が怪我をしていない方の関節と比べて、4分の3以下に制限されている場合をいいます。
    12級7号の後遺障害の場合の後遺障害慰謝料は、自賠責基準で94万円、裁判基準で290万円とされています。

  3. (3)痛みやしびれなど、神経症状があるとき

    ● 12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」
    「局部に頑固な神経症状を残すもの」とは、神経学的検査結果や画像所見などの他覚的所見により、局部の頑固な神経症状が医学的に証明できるものをいいます。関節を脱臼した場合、靭帯を損傷するなどして痛みが残ることがあり、靭帯損傷が画像所見などにより他覚的に証明できる場合には、12級13号の後遺障害が認定される可能性があります。
    12級13号の後遺障害の場合の後遺障害慰謝料は、自賠責基準で94万円、裁判基準で290万円とされています。

    ● 14級9号「局部に神経症状を残すもの」
    「局部に神経症状を残すもの」とは、上記12級13号と同様、神経学的検査結果や画像所見などの他覚的所見により、局部の神経症状が医学的に証明できるものをいいます。
    12級13号と14級9号は、いずれも神経症状に関する後遺障害ですが、両者を分ける重要な要素として、画像所見などの明らかな他覚的所見があるかどうかという点が挙げられます。
    14級9号の後遺障害の場合の後遺障害慰謝料は、自賠責基準で32万円、裁判基準で110万円とされています。

  4. (4)変形があるとき

    ● 12級5号「鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの」
    「鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの」とは、裸体になったときに、変形(欠損を含む)が明らかにわかる程度のものをいいます。そのため、その変形がエックス線写真によって、はじめて発見できる程度のものは該当しません。
    12級5号の後遺障害の場合の後遺障害慰謝料は、自賠責基準で94万円、裁判基準で290万円とされています。

3、後遺障害等級認定の流れ

交通事故で怪我をしてから後遺障害等級認定の申請をするまでの流れは、以下のとおりです。

  1. (1)治療

    まずは、怪我の治療をします。脱臼した部位については、今後の後遺障害等級認定手続きに備えて、エックス線写真の撮影やMRI検査を行っておきましょう

  2. (2)症状固定

    症状固定とは、これ以上治療を継続しても症状の改善が見込めない状態のことをいいます。

  3. (3)後遺障害診断書の作成

    症状固定と判断された場合には、後遺障害診断書を医師に作成してもらいましょう。後遺障害等級の認定手続きは、書面審査ですので、後遺障害診断書の記載内容が重要となります

    後遺障害診断書に記載されていない症状は、判断対象にすらならない可能性が高いです。ご自身の症状が適切に記載されているかどうか、必要な検査が行われているかどうかをよく確認するようにしましょう。

  4. (4)後遺障害等級認定の申請手続

    後遺障害等級認定の申請手続には、加害者側の保険会社が行う「事前認定」と、被害者が自分で行う「被害者請求」の二種類があります。

    ① 事前認定
    事前認定は、加害者の任意保険会社が書類の収集から提出まですべてを行ってくれます。煩雑な後遺障害等級認定手続きを加害者の任意保険会社にすべて任せることができるという点がメリットです。

    他方、事前認定では、加害者の任意保険会社が被害者に対し適切な等級認定に向けてアドバイスをするということは通常ありません。診断書の記載漏れや必要な検査が行われていなかったとしても、そのことが指摘されないまま手続きが進んでしまうこともあります。そうなると、本来得られるはずであった後遺障害等級を得られないという事態が発生することもあります。

    また、事前認定では、後遺障害等級の認定を受けたとしても、示談が成立するまでは、賠償金をもらうことができないというデメリットもあります。

    ② 被害者請求
    被害者請求は、後遺障害等級認定手続きに必要な書類(交通事故証明書、診断書、診療報酬明細書、画像データなど)を被害者が自分で収集し、自賠責保険会社に提出する方法です。そのため、手続きに手間がかかるというデメリットがあります。

    他方で、診断書の記載漏れがないようにチェックしたり、必要な検査を行ったりするなどして、被害者自身が提出書類を万全の状態にすることで、納得できる結果が得られる可能性を高めることができるというメリットがあります。

    また、被害者請求の場合は、加害者側と示談する前に、認定された後遺障害等級に応じて自賠責保険金を先に受領することが可能です。症状固定後も治療をしていたり、当面の生活費に困っているような場合には、被害者請求によるメリットが大きいといえます。

4、交通事故に遭った際に弁護士へ依頼するメリット

交通事故に遭ったときに弁護士に依頼をすることで、以下のメリットがあります。

  1. (1)賠償金の増額が見込める

    弁護士に示談交渉を依頼した場合、裁判所基準を前提に交渉を進めていくことになります
    加害者側の保険会社が交渉段階で裁判所基準の満額を認めてくれることはまれですが、少なくとも弁護士相手に保険会社内部の基準が通用しないことは知っているので、弁護士が介入した方が、被害者自身で交渉するよりも増額できるのが一般的です

    また、逸失利益についても、弁護士であれば、最終的に裁判を行うことができるという前提のもとで適切な金額を請求していきますので、被害者自身で交渉を行うよりも増額できる見込みが高いです。

  2. (2)被害者請求から示談交渉まで一任できる

    脱臼は、靭帯を損傷することもあるほどの大きな怪我です。脱臼によって、腕が上がりにくくなった、肩に痛みが残ったなどの症状がある場合には、後遺障害等級の認定を受けられる可能性があります。

    もっとも、後遺障害等級の認定は、関節可動域の検査、他覚的所見の有無が重要となりますが、これらの検査に漏れがないかを判断するのは、専門的知識と経験のある弁護士でないと困難でしょう

    弁護士に依頼することによって、被害者請求から示談交渉までを全て一任することができます。また、被害者請求を代行させることによって、適切な後遺障害等級の認定の可能性を高めることができます。さらに、裁判基準での慰謝料請求をするなど、適切な損害を主張することができるため、自分自身で交渉するより多くの賠償金を受け取れる可能性を高めることができます。

5、まとめ

今回は、交通事故で脱臼してしまった場合の後遺症やその場合に認定される可能性のある後遺障害等級、請求できる損害賠償の中身について解説をしました。脱臼は、可動域制限や痛み、変形など、複数の後遺症が残る可能性のある怪我ですので、ご自身のためにも適切に対応する必要があるでしょう。

また、弁護士費用特約を利用できる場合には、多くのケースで弁護士費用の負担なく弁護士に依頼することが可能です。弁護士費用特約を使える場合には、事故の初期段階から弁護士に相談することをおすすめします。

交通事故による脱臼の症状でお困りの方は、ベリーベスト法律事務所 豊中千里中央オフィスの弁護士へご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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