どこから副業? 定義や制度、会社にバレる理由などのポイント解説
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厚生労働省によれば、副業を希望している雇用者の数は、平成4年から平成29年まで右肩上がりです。平成30年には政府によって副業解禁施策が推し進められ、副業解禁元年(副業元年)とも呼ばれました。その影響からか、大手の求人サイトを見ると、豊中市や千里中央駅近辺に限っても多くの副業募集案件があります。
ただ、副業を推奨する流れがある中で、副業を許可していない企業がないわけではありません。そうした企業に勤めている場合、副業を諦めるか、会社に黙って働くか、どちらかしかないのでしょうか。
この記事で、ベリーベスト法律事務所 豊中千里中央オフィスの弁護士が、副業の範囲や定義を改めてご紹介し、副業の基本的な考え方についてわかりやすく解説します。
1、どこからが副業?定義や範囲は?
最初に、どこからが副業なのか、定義や範囲から解説しましょう。
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(1)副業の定義や範囲
副業とは、主に収入を増やすために、本業以外に仕事に従事することです。
平日はサラリーマンとして働き、土日にアルバイトをしている方なら、アルバイトをしていることが副業にあたります。また、本業とは別に、フリーマーケットで物品を販売して売り上げを立てる、ブログを書いてアフィリエイト収入を得るなども同様です。
本業以外で収入を得るものは、副業に該当すると言っていいでしょう。
ただし、副業が禁止されているからと言って、こうした行為すべてが禁じられているわけではありません。後ほど詳しく見るように、仕事内容によっては認められることもあります。
● 兼業や複業との違い
副業に似た言葉に、兼業や複業があります。
兼業は、副業との違いが説明されるときもありますが、はっきりとした区別はありません。厚生労働省でも同列で表記されているように、同じ意味を示す言葉として扱われるのが一般的です。
他方、複業は、本業が複数ある状態を指し、本業がひとつしかない副業とは違う言葉として扱われる傾向にあります。 -
(2)副業にまつわる制度の整備
副業は、現在さまざまな制度の整備が行われています。
たとえば、厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(以下、ガイドライン)では、労働時間管理や健康管理の方法など、使用者として取り組むべき内容が規定されています。
令和2年9月1日には改定版が作られ、労災保険(労働者災害補償保険)の給付の内容も大きく変更されました。副業先で怪我をした場合、これまでは、仮にその怪我で本業ができなくなったとしても、副業先の賃金額分の労災保険しか給付されませんでした。たとえば本業で月40万円、副業で月15万円稼いでいても、月15万円のみが対象だったのです。
しかし改定によって、現在はすべての就業先の賃金を合算した額で計算されるようになっています。
また、労働者健康安全機構では、令和2年度から副業・兼業労働者に健康診断を実施した事業者に対して、助成金を支給する「副業・兼業労働者の健康診断助成金」を始めています。
今後、こうした制度の整備で、ますます副業しやすい環境になると予想されます。
2、企業が副業を禁止にする理由
厚生労働省が平成30年1月に発表した「モデル就業規則」で、副業・兼業の規定が新設されているように、副業を推奨する動きが国単位で出てきています。ただ、それでも、副業を禁止する会社が少なからず見られるのが現状です。
なぜ、禁止にするのでしょうか。ここで、主な理由を3つご紹介します。
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(1)本業に支障が出る可能性があるから
副業をすると、長時間労働になりがちです。本業先の企業が、残業を禁止するなど労働時間の管理を十分に行っていても、疲労の蓄積などが避けられないことがしばしばあります。
そのため、「長時間労働が続けば健康に影響が出て、本業に支障が出る可能性があるから禁止する」という企業はよく見られます。 -
(2)不利益が生じるリスクがあるから
労働者は、企業に勤めることで、その企業独自のノウハウや機密情報を獲得しています。副業をすると、それらが副業先に(わざとでなくても)漏えいする可能性があります。
本業先の企業にとって、ノウハウや機密情報の漏えいは、副業先が特に競合他社なら死活問題でしょう。そうでなくても、もともと競合相手でなかった企業が、情報の獲得をきっかけに競合になりうるケースも考えられます。
副業の禁止には、このように不利益が生じる可能性をあらかじめ回避する意図もあるのです。 -
(3)人材が流出するおそれがあるから
労働者にとって、副業は、さまざまなキャリアの道が開けるメリットがあります。しかし、それは優秀な人材が流出しやすくなるのと同じです。
労働者不足に悩む企業であれば、すでに十分なスキルを身につけている会社員や業務に熟知した従業員を、みすみす失いたくないと考えるでしょう。そのため、副業を禁止する企業は少なくありません。
3、副業はどこからバレる?
前述のとおり、企業が副業を禁止するのには、一定の理由があります。逆に言うと、企業が懸念している理由に該当しないのであれば認められることもあります。
たとえば、月に1回だけ休日を使って仕事をするので長時間労働にはならない、まったく異なる業種なので利益相反のリスクがない、などです。
ただ、いずれの仕事にしても、会社に黙って行うのはおすすめしません。どんなに隠しても副業をしていることが発覚する可能性はあり、知られればペナルティが課されるリスクもあるからです。
先に、そもそもどこから発覚することが多いのか、よくあるパターンをご紹介しましょう。
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(1)住民税額で発覚
特に、副業先から給与所得をもらっているときは、ほとんどと言っていいほど発覚します。
住民税は、所得に応じて金額が決まるもので、副業の所得も当然ながら対象です。このとき、副業が給与所得(勤め先から支払われる給料やボーナス)の場合、本業と合わせた所得金額から住民税が計算され、市区町村役場から本業先に住民税額が通知されます。
したがって、あきらかに本業の給与所得に対して住民税額が高いと、どこか別のところで給与をもらっている=副業をしている、と簡単にわかってしまうのです。
● 特別徴収と普通徴収
なお、給与から住民税を天引きさせ、企業に代わりに支払ってもらうことを特別徴収と言います。一方、市区町村役場に自分で「私は○○円、給与をもらいました」と申告をして、住民税を納めることを普通徴収と言います。
給与所得の場合、普通徴収と特別徴収のどちらかを選ぶことはできません。しかし、事業所得や雑所得なら、住民税の申告時に普通徴収を選択できます。
● 事業所得と雑所得
事業所得は、小売業やサービス業などの事業で得た所得のことです。個人事業主やフリーランスとして仕事を請け負い、発生した所得がそれにあたります。
雑所得は、給与所得や事業所得、不動産投資による不動産所得、配当金を受け取ったときの配当所得など、所得税法が定める10の所得に当てはまらない所得のことです。文筆業以外の方が得た原稿料、講演料、印税、アフィリエイト収入、商品先物取引やFXで得た利益などが該当します。
これらのことから、住民税額で副業を知られないためには、普通徴収を選択できる事業所得や雑所得にあたる所得を得る必要があることがわかります。ただ、これも100%知られない方法とは言い切れないので注意しましょう。
ちなみに、事業所得や雑所得に対して所得税が発生した場合は、原則として確定申告をする必要があります。 -
(2)会社の人に見られたり聞かれたりして発覚
本業先の従業員に、副業している姿を直接見られたり、副業の話を聞かれたりすることで発覚するパターンがしばしばあります。
中でもありがちなのが、仲のいい同僚に副業の話をしたのをきっかけに広まるケースです。同僚がほかの人に話してしまう以外に、他の方に同僚との話を聞かれて発覚してしまうこともあります。
これ以外に、副業のために始めたSNSが、本業先の方に見つかるケースもあるようです。
4、副業が会社にバレると違法?
副業は、黙っていたとしても、高い確率で会社にバレてしまうものです。では、実際に知られてしまった場合、違法なのでしょうか。生じるリスクと合わせて解説します。
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(1)副業は違法ではない
まず、法的な観点から言うと、副業をすること自体は違法ではありません。そもそも、副業を規制する法律がないからです。
就業規則に副業禁止と書いてあった場合は契約違反となりますが、日本国憲法第22条では職業選択の自由を保証しています。労働基準法も、労働者は休日や休憩時間のとき、使用者の支配が及ばない(自由である)とするのが基本的な考え方です。
そのため、一切の副業を認めないとする就業規則の場合、民法第90条違反として無効とされる可能性があります。
● 公務員の場合
公務員は、労働者と異なり、国家公務員法第103条第1項により、営利目的で事業を展開する企業で働いてはならないとされています。ただし、秘密情報漏えいのリスクや本業に支障をきたすおそれがない場合、許可されることもあるようです。たとえば、農業や太陽光発電による売電などが該当すると考えられ、所轄庁の長等の承認を得られれば、行うことが可能です。 -
(2)ただし会社からペナルティが課されることがある
副業が就業規則で禁止されている場合、違法ではないとしても、会社からペナルティが課されることがあります。口頭での注意、減給、出勤停止、降格、解雇などです。
会社はむやみやたらに労働者を解雇することはできませんが、過去には本業に支障が出るという理由が合理的であると認められ、解雇が有効とされた裁判があります。
また、直接的なペナルティがなくても、上司との関係や仕事での評価に影響が出ることもあるでしょう。
5、まとめ
副業は法律で規定されているわけではありませんが、就業規則で禁止されているのであれば、始める前に会社に相談するのが無難です。
もし、そこで、会社に合理的ではない理由で副業することを断られたときは、一度弁護士に相談するのをおすすめします。弁護士であれば、会社の言い分や副業の内容を照らし合わせながら、法的な判断ができるからです。
あるいは、副業していたことがバレてトラブルが発生した場合でも、弁護士なら労働者に代わって会社と交渉し、労働者が不利益を被らないように話を進めることができます。
ベリーベスト法律事務所 豊中千里中央オフィスなら、労務問題に関して経験豊富な弁護士が在籍しているので、よければご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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