病院のGoogle口コミが低い! 問題ある口コミを削除できる?

2024年03月25日
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病院のGoogle口コミが低い! 問題ある口コミを削除できる?

Googleで病院名を検索すると、病院の位置を示すGoogleマップとともに利用者の口コミが表示されます。口コミには、高い評価もあれば、「待ち時間が多い」「態度が悪い」など、評価の低い書き込みが含まれていることもあります。

こうした書き込みの中には、誤解や事実と異なるもの、単なる誹謗中傷などもあるでしょう。しかし、病院を探している患者は口コミを参考にするため、放置していると利用者が減少するリスクがあります。では評価が低いGoogleの口コミは、削除することができるのでしょうか。

今回は、病院のGoogle口コミについて、問題のある口コミが投稿された場合の対処法をベリーベスト法律事務所 豊中千里中央オフィスの弁護士が解説します。

1、病院の口コミ評価が低い! 誹謗中傷や根拠のない悪意ある口コミをGoogleに連絡して削除してもらう方法

病院のGoogle口コミの評価が低いという場合、誹謗中傷や根拠のない悪意ある口コミが原因である可能性があります。そのような口コミを発見した場合、以下のような対処法が考えられます。

  1. (1)削除の対象となる口コミとは

    Googleに評価の低い口コミが投稿されたとしても、必ず削除できるわけではありません。Googleの口コミは、ユーザーに有益な情報を提供することが目的ですので、悪い評価が付けられたとしても、その目的に沿うものであれば削除の対象にはならないからです。

    他方、Googleでは、口コミ投稿に関するポリシーを定めています。

    以下のポリシーに抵触する口コミは、削除できる可能性があります

    • 虚偽のエンゲージメント(実体験に基づかないコンテンツの投稿)
    • なりすまし(他人になりすました投稿)
    • 誤った情報(虚偽の情報、不正確な情報、欺瞞的な情報など)
    • 不実表示(他人に誤解を与えたり、欺いたりする内容の投稿)
    • 不適切なコンテンツ(他の個人やグループを攻撃する投稿)
    • 個人情報
    • 関連性のないコンテンツ
    • 悪ふざけ


    このように削除の対象になるかどうかは、Googleのポリシーに違反しているかどうかが重要になります。そのため、まずは、問題の口コミがGoogleのポリシーに違反しているかどうかを確認するようにしましょう。

  2. (2)自分で行う削除方法

    Googleのポリシー違反が確認できたら、以下のような方法で問題の口コミの削除を求めることができます。

    ① Googleに違反報告を行う
    問題のある口コミの削除を求める場合、Google検索で対象となる口コミを表示します。削除したい口コミの右側にあるフラグアイコンをクリックし、「レビューを報告」をクリックし、報告する違反の種類を選択して違反報告を行います

    違反報告を受けたGoogleでは、報告のあった口コミを審査し、ポリシー違反が認められれば削除されます。

    ② リーガルヘルプページからリクエストする
    前述の違反報告では、単に違反の種類を選択して、口コミの削除を求めるだけですので、どのような点が問題なのかをGoogleに詳細に報告することはできません。

    権利侵害の内容をGoogleに詳しく伝えたいという場合には、リーガルヘルプページ(「法律に基づく削除に関する問題を報告する」というページ)から削除のリクエストをすることができます。

    リーガルヘルプページから削除のリクエストをする場合には、Googleの口コミに法的問題があるということを説明する必要がありますので、一定の法律知識が必要になります。そのため、リーガルヘルプページからリクエストする場合には、削除請求の実績がある弁護士に相談することがおすすめです。

2、削除されなければ、仮処分を検討

違反報告やGoogleへのリクエストでは、評価の低い口コミの削除ができないときは、裁判所の削除仮処分という方法を検討すると良いでしょう。

  1. (1)削除仮処分とは

    仮処分とは、正式裁判をする前に、裁判で勝訴した場合と遜色のない状態を確保できる手続きです。削除仮処分の手続きは、正式裁判に比べて、短時間で結論が出るというメリットがあります。

    また、裁判所に削除仮処分の申立てをして、削除命令が発令されれば、ほとんどのケースで口コミの削除に応じてもらえますので、正式裁判をすることなく問題のある投稿を削除することができるでしょう

    ただし、Google側が反論してきた場合には、3~4か月程度の期間がかかる可能性があります。また、削除の仮処分命令の発令にあたっては、申立人側に担保金(30~50万円程度)の供託が求められる点にも注意が必要です。

  2. (2)仮処分以外の方法も検討する

    削除仮処分は以外にも、以下のような方法を検討してみましょう。

    ① 良い口コミを増やす
    病院への評価の低い口コミが投稿されたとしても、100件ある口コミのうちの1件なのか、10件ある口コミの1件なのかによって、利用者に与える印象も大きく変わってきます。良い口コミが大多数であれば、悪い口コミがあったとしてもそこまで心配する必要はありません。

    また、口コミの投稿数が少ない場合には、質の高いサービスを提供していけば、自然と良い口コミも増えていくはずです。ただし、自作自演(サクラ)行為はGoogleのガイドラインで禁止されておりペナルティー対象となるため、行わないようにしましょう。

    ② 悪い口コミに対して丁寧な返信をする
    病院、クリニック、歯科医院などの悪い口コミをそのまま放置していると、口コミを閲覧した利用者や患者に悪い印象を与えてしまいます。そのような口コミに対しては、感情的になって批判するのではなく、丁寧な返信をすることも有効な手段となります。

    丁寧な返信をすることで、口コミを閲覧した利用者に対して、「サービス改善に向けて真摯に取り組んでいる病院」であるとの印象を与えることができるでしょう。

3、身の危険を感じるコメントや明らかな業務妨害であれば、相手を特定し訴訟や告訴することを検討

病院への口コミの内容が暴力的であったり根拠のない悪質なものであった場合には、相手を特定し、損害賠償請求や告訴なども検討する必要があります。

  1. (1)発信者情報開示請求

    投稿者への責任追及の前提として、まずは、投稿者を特定する必要があります
    口コミの投稿者を特定するためには、多くの場合は以下の方法をとることになります。

    • ① Googleを相手方として発信者情報開示仮処分の申立て
    • ② プロバイダを相手方として発信者情報開示請求訴訟の提起


    ①の方法では、ログイン時のIPアドレスとタイムスタンプが開示されますので、その情報に基づいてアクセスプロバイダを特定し、プロバイダに対して、投稿者の住所、氏名などの開示を請求していきます。

  2. (2)損害賠償請求

    発信者情報開示請求により、投稿者が特定できたら、投稿者に対して、悪質な口コミにより被った損害の賠償請求を行います

    まずは、投稿者に損害賠償の支払いを求める内容証明郵便を送り、示談交渉による解決を図ります。投稿者との話し合いにより合意が成立すれば、示談金の支払いを受けて対応は終了となります。しかし、こちらからの損害賠償請求に真摯に応じないときは、裁判所に損害賠償請求訴訟を提起する必要があります。

  3. (3)刑事告訴

    病院へのGoogleの口コミが名誉毀損、業務妨害にあたる場合には、刑事告訴をすることにより、投稿者への刑事処分を求めることもできます。刑事告訴は、損害を回復する手段ではありませんが、病院側が悪質な口コミに対して、厳格な対応をするということを示すことで、今後同様な口コミが投稿されることを防ぐ効果も期待できます

    なお、口コミの内容によっては、緊急性が高いものもありますので、早期に警察に相談することも検討しましょう。また刑事告訴をすべきか判断に迷ったら、削除請求問題に実績のある弁護士に相談することをおすすめします。

    相談の際には、以下のようなものを準備しておけばスムーズに進みます。

    • 問題の口コミを印刷したページ
    • 投稿者を特定できている場合には、投稿者の氏名、住所などがわかる資料

4、Google口コミの問題で弁護士ができること

Googleの口コミに関する問題でお困りのときは、弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)口コミの削除の方法をアドバイスしてもらえる

    Googleサポートには法的な理由に基づく報告ができるリーガルヘルプページがあります。削除のリクエストをする場合、Googleポリシーと法的観点の両方から口コミの違法性を説明しなければなりません。そのためには、削除請求の実績がある弁護士のサポートが重要になります。

    裁判外の方法で削除できるのであれば時間も費用も節約できますので、少しでも削除の可能性を高めるためにも弁護士のアドバイスを受けると良いでしょう

  2. (2)仮処分や訴訟の対応を任せることができる

    Googleへの申請による方法では、問題となる口コミの削除ができない場合には、裁判所に仮処分の申立てが必要になります。また、悪質な口コミをした投稿者への責任追及をするにあたっては、投稿者を特定するための発信者情報開示請求が必要になります。

    このような法的手段をとるにあたっては、法的知識や経験がなければ迅速かつ適切に対応することが難しいため、弁護士に対応を任せるのが得策です。評価の低い口コミを放置していると病院経営にも影響が生じるおそれがありますので早めに対応することが大切です。

5、まとめ

Googleの口コミで病院の悪い評価が投稿されてしまうと、口コミを見た利用者が病院の利用を回避するおそれもあります。低い評価の口コミを発見した場合には、内容によっては、削除請求や投稿者への損害賠償請求、刑事告訴などを検討する必要がありますので、まずは弁護士に相談することがおすすめです。

評価の低い口コミでお困りの病院関係者の方は、ベリーベスト法律事務所 豊中千里中央オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています