面会交流で子供の意思が反映される年齢は? 相手が拒否した場合は?
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大阪府の令和元年人口動態調査の結果によると、令和元年度の大阪府全体の離婚件数は、1万6282件でした。そのうち、豊中市の離婚件数は624件であり、大阪市、堺市、東大阪市に次いで4番目に多い数字となっています。
離婚をする夫婦に子どもがいる場合には、離婚によって親権を獲得できなかった親から、子どもとの面会交流を求められることがあります。しかし、婚姻中に子どもとの関わりが希薄だったり、関係が悪かったりした場合には、非監護親からの面会交流の要求に対して、子ども自身が拒絶するということもあります。
面会交流にあたっては、このような子どもの意思はどの程度反映されるのでしょうか。また、子どもの意思が反映されるとしても、子どもが何歳になってから反映されるのでしょうか。
今回は、面会交流の許否に関する子どもの意思と年齢についてベリーベスト法律事務所 豊中千里中央オフィスの弁護士が解説します。
1、面会交流について、子どもの意思はいつから認められるのか
離婚後に父親から面会交流を求められたとしても、子どもが面会交流を拒否するということもあります。面会交流の許否に関して、このような子どもの意思はいつから考慮されるのでしょうか。
以下では、面会交流の許否についての判断基準などについて説明します。
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(1)面会交流の許否についての判断基準
面会交流を実施するかどうかについて争いがある場合には、最終的に裁判所がその許否を判断することになります。民法766条1項では、「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と規定しているように、面会交流を認めることが子どもの福祉に合致するかどうかという観点から判断されることになります。
子どもの福祉を判断する際の具体的な考慮要素としては、以下のものが挙げられます。
- ① 子どもに関する要素(年齢、心理状態、現在の生活状況、面会交流に対する意向)
- ② 監護親に関する要素(現在の生活状況、子どもの監護状況、面会交流についての意向)
- ③ 非監護親に関する要素(別居前の監護態度、子どもに対する愛情・親和性、面会交流の具体的方法)
- ④ 面会交流を実施する際の監護親と非監護親との協力の可能性
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(2)面会交流が認められないケース
裁判所の基本的な考え方は、子どもと別居親との面会交流は、子どもの健全な成長に資するものであると考えられていることから、面会交流の実施によって子どもの福祉を害することが明らかであると認められる場合を除き、面会交流を積極的に認める傾向にあります。
例外的に、面会交流が制限されるのは、子どもの福祉を害すると認められる場合です。具体的には、以下のケースが挙げられます。
- ① 子どもが別居親から暴力などの虐待を受ける危険性が高い場合
- ② 子どもが別居親に連れ去られる危険性が高い場合
- ③ 子どもが精神的負担から健康状態を著しく損なう危険性が高い場合
- ④ 別居親が同居親を不当に非難するなどして子どもと同居親の離反を図り、またはその間の精神的安定を阻害させる危険性が高い場合
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(3)子どもの意思が反映される年齢
家事事件手続法65条、258条1項では、子どもがその結果により影響を受ける家事審判または家事調停の手続きにおいて、以下のように定めています。
子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、審判をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない
また、家事事件手続法152条2項では、子どもの監護に関する処分の審判をする場合には、15歳以上の子どもの陳述を聴かなければならないとしています。
したがって、法律上は、子どもの年齢が15歳に達している場合には、必ず意見が聴取され、その内容が面会交流の許否にあたって考慮されることになります。
しかし、自分の意思を表明するだけの最低限の能力である意思能力については、10歳前後から備わるといわれていますので、その年齢に達している場合には、15歳未満であっても審判の際に子どもの意思が反映されるといえます。
2、面会交流の基本的な定め方
子どもの意思が反映される年齢を確認しましたが、それでは面会交流は、どのような内容をどのような方法で決めることになるのでしょうか。
以下では、面会交流の基本的な決め方について説明します。
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(1)面会交流で決めるべき事項
面会交流でそれほどもめていない場合や頻度さえ決めておけば足りると考えられる場合には、面会交流権があることのみを決めておくか頻度を決めておくことで足りるでしょう。しかし、将来の紛争を未然に防止するためには、以下の内容を具体的に決めておくことが有効です。
① 頻度
面会交流の頻度については、「月1回」とした場合、何らかの事情によって面会交流が実施できなくなると条件違反になり、複数回実施したくても1回に制限できる可能性をもたらします。そこで、面会交流を円滑に行うためには、「月1回程度」などのように含みをもたせる工夫が必要になります。
② 日時
面会交流をいつ、どのくらいの時間、行うのかを決めます。平日は、子どもは学校があり、親も仕事がありますので、土日を設定することが多いでしょう。また、面会交流の開始時間と終了時間を定めておくことで円滑な面会交流を行うことが可能になります。
③ 場所
子どもが幼い場合には、子どもの負担を考えて、監護権者の自宅で面会交流に限るということも有効な方法となります。場所の限定をするとそれ以外の場所での面会交流が制限されることになりますので、子どもの成長に応じた柔軟な面会を実現するためには、日時のみを指定して面会場所は非監護親に委ねるというケースも多いです。
④ 子どもの受け渡し方法
面会交流の開始時と終了時の子どもの受け渡し方法を決めます。子どもの年齢が幼い場合には、監護親の協力が必要になりますが、どうしても顔を合わせたくないという場合には、親族などに協力を求めることも必要になります。
⑤ 連絡方法
面会交流の詳細については、当事者間の協議に委ねるとした場合には、面会交流の内容を決めるための連絡方法をどうするかを決めておかなければなりません。電話、メール、LINEなどの適宜の方法で定めるとよいでしょう。 -
(2)面会交流の決め方
面会交流については、基本的には、当事者が話し合いによって決めることになります。しかし、話し合いによって決まらない場合には、家庭裁判所に対して面会交流調停または審判を申し立てます。
家庭裁判所で面会交流を決める場合には、上記で説明した考慮要素を調査するために、家庭裁判所の調査官による調査が行われることがあります。家庭裁判所の調査官は、子どもが自分の意見を表明することができる年齢であると判断すれば、子どもの意向調査も行います。
この調査は、非監護親が子どもとどのように接するのか、面会交流による子どもへの影響を見極める目的です。裁判所の面会室を利用して試行的面会交流が行われることもあります。
そして、最終的には、調査官の調査報告書の内容を踏まえて、裁判官が面会交流の許否を判断します。
3、子どもの意思を相手が拒否した場合
それでは、子どもが面会交流に関して自らの意思を表明しているにもかかわらず、その意思に相手が従わない場合には、どのように対応したらよいのでしょうか。
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(1)子どもが会いたくないと言っているのに面会を求めてくる場合
子どもと非監護親との関係性によっては、非監護親から面会を求められたとしても、子ども自身が面会を拒絶するということもあります。面会交流は、「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」(民法766条1項)とされていますので、面会交流を行うことによって、子どもの利益が害される場合には、面会交流を拒否すべき事情になります。
そこで、非監護親に対しては、子どもが面会を拒否している旨伝えて、面会交流を行わない方向で調整するべきです。しかし、非監護親としては子どもから直接伝え聞いていないため、「子どもがそんなことを言うはずがない」として執拗に面会交流を求めてくることがあります。このような場合には、監護親から面会交流調停を申し立てて、面会交流を行わない方向での取り決めを求めるとよいでしょう。
調停では、家庭裁判所の調査官の調査が行われますので、相手方は、調査官の報告書を通じて子どもの意向を知ることができます。監護親から伝え聞いた内容では納得しない相手でも中立な第三者である調査官の調査結果であれば素直に受け入れてくれることもあります。 -
(2)子どもが会いたがっているのに会ってくれない場合
面会交流については、民法766条1項において、父母が協議で定めると規定し、同条2項において、父母の協議が調わないときまたは協議をすることができない場合に家庭裁判所が定めると規定しています。
そうすると、家庭裁判所に対して面会交流の調停または審判を申し立てることができるのは、父母のみであり、それ以外の人が面会交流の申し立てをすることはできないと考えられます。
祖父母が孫との面会を求めた事案について、令和3年3月29日の最高裁決定も上記と同様に父母以外の人からの申し立てを否定していることからすると、子どもから非監護親に対する面会交流を求めることはできないと考えられます。
そのため、子どもの意思を実現するためには、調停や審判ではなく、非監護親との交渉によって面会を実現することになるでしょう。
4、面会交流のお悩みは弁護士へ
面会交流についてお悩みの方は、以下のような理由から弁護士に相談をすることをおすすめします。
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(1)状況に応じた適切な面会交流の取り決めができる
非監護親と子どもとの面会交流については、離婚後に争いが生じやすい項目の1つになります。離婚時に面会交流の取り決めを曖昧にしておくと、非監護親から執拗に面会交流を求められるなどして、監護親や子どもの負担が大きくなることがあります。
面会交流の内容をどうするのかについては、個別具体的な状況によって異なってきますので、将来の争いを防止するために最適な内容を取り決めるためには、専門家である弁護士のサポートが不可欠となります。 -
(2)面会交流の取り決めなどの手続き上の負担を軽減できる
面会交流について争いがある場合には、離婚後も元配偶者と連絡を取り合い、話し合いを行っていかなければなりません。元配偶者から面会交流調停を申し立てられた場合には、その対応も必要になりますが、調停や審判手続きに不慣れな方では適切に対応することが難しいことがあります。
そのような場合には、弁護士に依頼をすることによって、すべての交渉の窓口を弁護士にすることができますし、調停や審判でも不利にならないように適切なサポートをすることができます。それによって、ご本人の負担は相当軽減されることになるでしょう。
5、まとめ
子どもが会いたくないと言っているにもかかわらず、「子どもがそんなことを言うはずがない」、「子どもに会えないなら養育費を支払わない」として、子どもとの面会を執拗に要求してくることがあります。そのような場合には、弁護士に依頼して、非監護親との交渉や調停の申立などを行うことが有効です。
面会交流でお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 豊中千里中央オフィスまでお気軽にご相談ください。
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