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遺言書の検認をしないとどうなる? 手続きや隠匿された場合の対処方法

2021年11月30日
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遺言書の検認をしないとどうなる? 手続きや隠匿された場合の対処方法

令和元年度の司法統計のうち「家事審判・調停事件の事件別新受件数 家庭裁判所別」によると、大阪家庭裁判所での令和元年度の遺言書の検認申立て件数は、1198件でした。高齢化に伴い、遺言書を作成する方が増えれば、遺言書の検認申立て件数も増加することが予想されます。

親が亡くなり、遺品を整理していると、その中から遺言書が発見されるということがあります。被相続人の遺言書が見つかった場合には、その場で開封するのではなく、必ず家庭裁判所の検認手続きをする必要があります。検認をしない場合や遺言書を隠匿した場合にはさまざまなペナルティが課されることになりますので、注意が必要です。

今回は、遺言書の検認手続きや遺言書を隠匿された場合の対処法まで、遺言書の検認にまつわる問題をベリーベスト法律事務所 豊中千里中央オフィスの弁護士が解説します。

1、遺言書の検認とは

遺言書の検認とはどのような手続きなのでしょうか。以下では、遺言書の検認手続きの概要について説明します。

  1. (1)検認手続きの概要

    遺言書の検認とは、相続人に対して遺言の存在およびその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など、検認日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造や変造を防止するための手続きです。

    したがって、遺言書の検認をすることよって、遺言書の有効性が判断されるわけではありません

    遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく家庭裁判所に遺言書を提出して、その検認を受けなければならないとされています(民法1004条1項)。

  2. (2)検認が必要な遺言書とは

    遺言書の種類には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の三種類があります。このうち、家庭裁判所における検認手続きが必要になるのは、自筆証書遺言と秘密証書遺言です

    秘密証書遺言が作成されるケースは、あまりありませんので、遺言書の検認手続きの多くは、自筆証書遺言で行われています。ただし、遺言書保管制度によって法務局において保管されている自筆証書遺言については、検認の手続きを行う必要がありません。

    また、発見された自筆証書遺言に本人の印鑑が押印されていないなど明らかに無効な遺言書であったとしても検認は必要になります。なぜなら、検認手続きは、遺言書の有効性を判断する手続きではなく、その当時の状態を明らかにするための手続きだからです。

2、遺言書の検認をしないとどうなる?

遺言書の検認は、法律上の義務とされていますので、対象となる遺言書を発見した場合には、必ず行わなければなりません。遺言書の検認手続きを怠った場合には、以下のような不利益を被ることになります。

  1. (1)遺言書の内容を実現することが困難

    遺言書の検認手続きをしたかどうかによって、遺言書の効力が左右されることはありません。そのため、遺言書の検認手続きを経ずに遺言内容に従って遺産の分割をしたとしても、遺産分割が無効になるということはありません

    しかし、実務上は、さまざまな場面で検認手続きを経ていることが求められますので、検認手続きを経ていなければ名義変更などを行うことは困難といえるでしょう。

    たとえば、不動産登記実務においては、相続を原因とする所有権移転登記申請において、相続を証する書面として自筆証書である遺言書を添付する場合には、検認手続きを経ていることが要求されます。

    また、預貯金の解約手続きにおいても、金融機関から検認調書などを要求されるのが一般的ですので、検認を経ていなければ、預貯金の解約手続きを行うことができません。

  2. (2)過料の制裁

    家庭裁判所における検認手続きを経ずに遺言書の執行をした場合や開封した場合には、5万円以下の過料に処せられることになります(民法1005条)。

    過料とは、行政上の義務違反があった者に対して、金銭の支払いを求める制裁の一種です。ただ、あくまでも行政罰ですので、罰金のような刑事罰とは異なり、前科になることはありません。

3、遺言書の検認手続きの流れ

遺言書の検認手続きの流れとしては、以下のとおりです。

  1. (1)家庭裁判所に検認の申し立て

    遺言書を発見した場合には、遺言書の検認手続きを行うために、家庭裁判所に検認の申し立てを行います。

    ① 申立人
    検認の申立権者は、遺言書の保管者がいる場合にはその保管者、保管者がいない場合には遺言を発見した相続人です。

    ② 申立先
    検認の申し立てをする家庭裁判所は、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。遺言者の最後の住所地は、住民票の除票などで確認をしたうえで、裁判所のホームページで管轄する家庭裁判所を調べるとよいでしょう。

    ③ 必要書類
    検認の申し立てにあたっては、以下の書類が必要になります。

    • 検認申立書
    • 遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍謄本
    • 相続人全員の戸籍謄本


    ④ 申し立て費用
    検認の申し立てにあたっては、以下の費用がかかります。連絡用の郵便切手の組み合わせや金額は、申し立てをする裁判所によって異なりますので、申し立て前に確認をするようにしてください。

    • 遺言書(封書の場合には封書)1通につき収入印紙800円分
    • 連絡用の郵便切手
  2. (2)検認期日の通知

    申立書類に不備がなければ、家庭裁判所から相続人全員に検認期日の通知がなされます。検認期日の通知には、検認手続きが行われる日時が記載されていますので、指定された日時に家庭裁判所に行くことになります。

    なお、検認の申立人は、検認期日に出席する必要がありますが、それ以外の相続人は、検認期日に出席するかどうかは、各人の意思に委ねられています。検認期日を欠席することもできますが、その場合でも検認手続きは行われます。

  3. (3)検認期日

    検認期日には、申立人が遺言書の原本を持参して、その場で遺言書の開封が行われます。開封後は、裁判官によって、遺言書の紙質、形状、文字の配列、筆記具の種類、文字の色、加除訂正の有無など遺言書の外形から認識することができるものが確認され、その内容が検認調書に記載されます。

  4. (4)検認済証明書の申請

    遺言書の執行にあたっては、遺言書が検認済みであることを証明する必要がありますので、検認手続きが終了した後は、検認済証明書の申請を行います。検認済証明書の申請があると、裁判所書記官が検認済証明書を作成して、遺言書の末尾にそれを編綴・契印し、遺言書を申立人に返還することになっています。

    検認済証明書の申請にあたっては、遺言書1通について収入印紙150円分と申立人の印鑑が必要になります。

4、遺言書を隠されて検認できない場合

自筆証書遺言が発見されたとしても、自己に不利な内容が記載されている場合には、その遺言書を隠してしまう相続人も存在します。このような場合には、どのように対処すればよいのでしょうか。

  1. (1)遺言書を隠匿した場合のペナルティ

    遺言書を隠匿した相続人には、以下のような民事上および刑事上のペナルティが課されることになります。

    ① 民事上のペナルティ
    遺言書を隠匿した場合には、相続欠格事由に該当しますので、当該相続人は相続人になることができなくなります(民法891条5号)。

    ここでいう「隠匿」とは、相続に関して不当な利益を得ることを目的としてなされてものであることが必要です。たとえば、遺言書では自己に不利な内容が書かれているため、それを避ける目的や相続人による遺留分の請求を避けて時効にかける目的などがあった場合には、隠匿に該当することになります。

    ② 刑事上のペナルティ
    遺言書は、権利義務に関する文書にあたりますので、これを隠匿した場合には、私用文書等毀棄罪に問われる可能性があります(刑法259条)。

    私用文書等毀棄罪の法定刑は、5年以下の懲役と規定されています。罰金刑はありませんので、比較的重い罪であるといえるでしょう。

  2. (2)遺言書が隠匿された場合の対処法

    相続欠格事由に該当する場合には、当然に相続人となる資格を失うことになります。そのため、遺言書が隠匿された場合には、相続欠格者である相続人を除いた相続人によって遺産分割協議を進めていくことになります。

    その際に、遺言書を隠匿した相続人が自ら相続欠格事由のあることを認めているのであれば、相続欠格者であることの証明書を作成し、署名押印をしてもらうことによって、相続登記や預貯金の払い戻しの手続きにおいて利用することが可能です。

    これに対して、遺言書を隠匿した相続人が相続欠格事由のあることを認めていない場合には、相続欠格事由に該当し相続人でないことを確定させるために、相続権不存在確認の訴えを提起する必要があります

    遺言書を隠匿した相続人がいる場合には、上記のような複雑な手続きをとる必要がありますので、相続に詳しい弁護士に相談をしながら進めていくことをおすすめします

5、まとめ

被相続人による遺言書を発見した場合には、家庭裁判所の検認手続きが必要になります。検認手続きは、遺言書の有効性を判断する手続きではありませんので、遺言書の有効性に疑いがある場合には、別途遺言無効確認の訴えを提起する必要があります。

また、遺言書が有効である場合でも遺言書の内容が相続人の遺留分を侵害する内容であった場合には、遺留分侵害額請求の手続きをとることも可能です。

このように遺言書をめぐってさまざまなトラブルが生じることがありますので、遺言書を発見したという場合には、ベリーベスト法律事務所 豊中千里中央オフィスまでご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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